コーヒーを飲みたくなるときは、どんなときですか。
カーテンを開けて、いい風が入ってきたとき。
なんだか寝不足で、意識がまとまっていないとき。
誰かの話を、ゆっくり聞きたいとき。
今年はじめのストープを用意して、火がつくまでのひととき。
ひとの気持ちは、いろいろです。その時々により、おいしいと思う感覚だって微妙に変わってきます。コーヒーは、生活の脇役である。そう考える珈琲文庫にとって、だれもが素晴らしいと思う味が最高のコーヒーということにはなりません。その時々の気分にあったコーヒーが、そのひとの一番おいしい一杯ではないかと思うからです。
コーヒーを、気分にあわせて飲むことができたら。まるで、本を選ぶように。
今日はミステリーを読みたい。映画化された小説もいい。写真集をながめたい。
ひとは本を読んで、知らない場所の風景のかけらを少しずつ受けとるように、読書のひとときを楽しみます。
そして、そんなふうに遠い国のどこかでつくられた、コーヒー豆のすてきな香りとあじわい、生産者のまごころを、皆さんにお届けできればと思うのです。
ですが、飲みたい気分に合わせたコーヒーを飲むというのは、なかなか難しいもの。
その年によって出来のちがいがある豆選び、豆にあった培煎の仕方などさまざまな選択肢があり、毎日飲める価格かどうかという問題もあります。
珈琲文庫では気軽においしくコーヒーを楽しんでいただけるよう、普段からイメージしている複数の味のカテゴリーがあります。
「この味にするために、この農園の生豆を、この培煎で」というようにしてコーヒー豆をご提供しています。プレンドをせず、その年の単一エリアや農園の豆を吟味して選ぶため、商品が頻繁に変わってしまいますが、コーヒー会社で15年間働いた経験と知識で、人と人とのつながりを生かし、旬な豆をお手頃な価格で提供しています。
こんなコーヒーが飲みたかった」ただその声が聞くことができたら。
あなたがほんとうにおいしいと思える、一杯のコーヒーを探す旅。
その旅の案内人としてご一緒させていただければ幸いです。
- 川崎 宏 プロフィール
かわさき ひろし / 珈琲文庫 代表
1971年、函館生まれ。父親から影響をうけ、小学生にしてコーヒー好きに。 高校2年生で地元のコーヒー専門店のアルバイトを始め、コーヒー屋めぐりをする。東北へ旅した際、 これは!と思える豆に出会い、 その豆を扱う札幌の某専門店の名前を知る。その後、 浪人をしながらコーヒー専門色の濃いジャズ喫茶でアルバイトをし、コーヒー屋めぐりも続ける。
1993年、コーヒー専門店にアルバイトのつもりで面接にいき採用となるが、 あとから正社員募集だったと知る。しかもそのお店は東北の旅で出会った、あの某専門店だった。
2000年、日本ではじめてのコーヒー販売員の資格「コーヒーマイスター」一期合格。
2008年、一身上の都合により退社。同年、千代田商事に入社し、不動産業に従事。
現在は車庫を改造した培煎工場をつくり、仕事をしながら毎週土曜日に培煎をおこなっている。コーヒー専門店での経験と人脈により、よい豆·貴重な豆を業者並みに安価に仕入れられる環境を活かし、2010年、 班排文庫を設立。自分のポリシーを貫き通せる専門店を志す。